50代の転職で内定後に退職を伝えるときは、転職先の内定条件と入社日を確認してから、現在の直属の上司へ早めに直接伝えるのが基本です。退職理由は現職への不満ではなく、今後の働き方や経験を生かしたいという前向きな表現にすると、話し合いが進みやすくなります。
ただし、口頭で「採用したい」と言われただけの段階で退職を決めるのは避けましょう。労働条件通知書や雇用契約書などで、仕事内容、雇用形態、給与、勤務地、入社日、試用期間を確認してから伝えることが大切です。
内定後に退職を伝える適切なタイミング
退職を決めたら、現在の職場の就業規則と引き継ぎ期間を確認し、入社日に間に合うよう早めに伝えます。目安は、入社日の1〜2か月前ですが、管理職や専門職など引き継ぎに時間がかかる場合は、さらに早い相談が必要です。
法律上、期間の定めがない雇用契約では、労働者が退職を申し入れてから2週間が経過すると退職できるとされています。ただし、実際には就業規則、業務の引き継ぎ、会社との合意によって退職日を調整することが多いため、2週間だけを基準に一方的に進めるのはおすすめできません。
民法第627条では、期間の定めがない雇用契約の解約申入れについて定められています。契約社員など期間の定めがある場合は扱いが異なるため、契約期間の途中で退職する場合は、就業規則や契約内容を確認してください。
退職を伝える前に確認すること
内定を承諾して退職を伝える前に、次の項目を確認します。条件が曖昧なまま退職すると、入社後に「聞いていた話と違う」という問題が起こる可能性があります。
- 転職先から労働条件通知書や雇用契約書を受け取っているか
- 入社日が確定しているか
- 給与、賞与、勤務地、勤務時間、仕事内容が希望と合っているか
- 正社員、契約社員など雇用形態を確認したか
- 試用期間の長さと、その間の労働条件を確認したか
- 現在の会社の就業規則で、退職の申し出期限を確認したか
- 有給休暇の残日数と、最終出勤日をどうするか考えたか
「内定」と書かれていても、入社日や条件が未確定の場合があります。書面の内容を確認できない場合は、転職先に「退職の申し出をする前に、労働条件と入社日を書面で確認したい」と伝えておくと安心です。
50代の転職で退職を伝える手順
退職の話は、メールや社内チャットだけで済ませず、まず直属の上司に時間を取ってもらいます。次の順番で進めると、感情的にならずに話しやすくなります。
- 直属の上司に「ご相談したいことがあるため、少しお時間をいただけますか」と面談を依頼する。
- 周囲に人がいない場所で、退職したい意思と希望する退職日を伝える。
- 転職理由は簡潔に説明し、現在の会社や同僚への不満を並べない。
- 引き継ぎの方法とスケジュールを相談する。
- 退職届の提出時期や社内手続きを確認する。
- 退職日が決まったら、業務内容、取引先、資料の保管場所などを整理して引き継ぐ。
最初の面談では、退職届をいきなり机に置くよりも、まず退職の意思と希望日を口頭で伝え、会社の手続きに沿って書類を提出する方法が一般的です。ただし、退職届の提出方法は会社によって異なるため、上司や人事部に確認してください。
退職の伝え方の例文
50代の転職では、これまでの経験を否定するのではなく、今後の働き方を考えた結果だと伝えると、落ち着いた印象になります。
直属の上司には、次のように伝えられます。
「お時間をいただきありがとうございます。今後の働き方について考えた結果、これまでの経験を別の環境で生かしたいと考え、退職を決意しました。〇月〇日を退職希望日として、退職の手続きを進めさせていただけないでしょうか。ご迷惑をおかけしないよう、引き継ぎは責任を持って行います」
転職先の会社名まで詳しく説明する必要はありません。聞かれた場合も、転職先の業務内容や給与などを細かく比較して話すのではなく、「これまでの経験を生かせる仕事に挑戦したいと考えました」と簡潔に答えれば十分です。
退職理由を詳しく聞かれたときは、次のような表現が使えます。
- 「これまでの経験を生かしながら、新しい分野にも挑戦したいと考えました」
- 「今後のキャリアを考え、長く働ける環境で経験を役立てたいと判断しました」
- 「自分の専門性を別の形で生かす機会に挑戦したいと考えました」
「会社に不満がある」「評価されなかった」「給料が低い」といった話を中心にすると、引き留めや反論につながりやすくなります。実際に不満があったとしても、退職の場では必要な範囲にとどめるのが無難です。
引き留められたときの対応
引き留められても退職の意思が変わらないなら、「十分に考えたうえで決めたことです」と、感情的にならずに繰り返します。待遇改善や役職の提案を受けた場合は、その場で返事をせず、内容を確認してから判断しても構いません。
ただし、転職先への入社を取りやめる可能性があるなら、先に転職先へ連絡してください。現在の会社に残ると決めた場合も、転職先の採用担当者へできるだけ早く事情を説明する必要があります。
50代だからこそ注意したい退職前の確認事項
50代では、給与だけでなく、退職金、企業年金、定年年齢、再雇用制度、役職の扱いなどが転職後の条件に影響することがあります。現在の会社を退職することで受け取れなくなる制度がないか、就業規則や人事担当者への確認が必要です。
また、入社日までに健康診断、年金や雇用保険の手続き、家族の健康保険の切り替えなどが必要になる場合があります。必要書類や期限は転職先と現在の会社で異なるため、退職日と入社日が決まった時点でそれぞれに確認しましょう。
転職先から「内定を取り消す」と言われた場合や、退職をめぐって強く引き止められた場合など、個別の事情があるときは、労働条件通知書、内定に関するメール、就業規則などの記録を保管してください。契約期間や退職日の扱いに疑問がある場合は、労働相談窓口や専門家への相談を検討します。
退職を伝えるときの要点
最初に行うことは、転職先の労働条件と入社日を、書面で確認することです。そのうえで直属の上司に退職の意思と希望日を直接伝え、引き継ぎの計画を示します。
伝え方は、「内定をもらったので辞めます」と報告するよりも、「今後の働き方を考え、退職を決意しました。〇月〇日を希望します」と、意思と日付を明確にするのがポイントです。50代までの経験への感謝を示し、最後まで引き継ぎに責任を持つ姿勢を伝えると、円満な退職につながりやすくなります。







