50代でも、失業保険(雇用保険の基本手当)は条件を満たせば受給できます。年齢だけで対象外になることはありません。主な条件は、退職前の雇用保険の加入期間、働く意思と能力、求職活動をしていることです。
ただし、自己都合退職か会社都合退職かによって、受給開始時期と給付日数が変わります。転職先が決まっていて、すぐに働き始める場合は、通常の失業状態とは認められず、基本手当を受け取れないことがあります。
50代が失業保険を受給するための4つの条件
失業保険を受給するには、次の条件をすべて満たす必要があります。
- 退職前に雇用保険へ加入していた
- 一定期間以上、雇用保険の被保険者だった
- 働く意思と能力があり、求職活動をしている
- 現在、就職しておらず、仕事が決まっていない
1. 退職前に雇用保険へ加入している
失業保険は、雇用保険の被保険者であった人が対象です。一般的には、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上雇用される見込みがある人などが雇用保険の加入対象になります。
雇用保険に加入していたか分からない場合は、給与明細の「雇用保険料」の控除や、会社から渡される離職票などを確認してください。
2. 原則として、退職前2年間に通算12か月以上加入している
自己都合で退職した場合は、原則として離職前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上必要です。
ここでいう1か月は、単にカレンダー上の1か月ではありません。原則として、退職日からさかのぼって、賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上、または労働時間が80時間以上ある月を1か月として数えます。
会社の倒産・解雇・雇い止めなどで離職した場合や、やむを得ない理由による離職と認められる場合は、離職前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば受給資格を得られることがあります。
最終的な離職理由の区分は、離職票の記載だけで決まるとは限りません。会社の説明、本人の事情、退職に至った経緯などをもとに、ハローワークが判断します。
3. 働く意思と能力があり、求職活動をしている
失業保険は、退職した人全員に支給される退職金のような制度ではありません。すぐに働ける状態で、仕事を探している人が対象です。
たとえば、病気やけがですぐに働けない、家族の介護ですぐに就職できない、しばらく休養する予定で求職活動をしない、といった場合は、基本手当を受給できないことがあります。30日以上働けない場合は、受給期間の延長を申請できる場合があります。
4. 就職しておらず、失業状態にある
退職後にアルバイトや内職をする場合は、働いた日数や時間、収入によって、基本手当が支給されない、または減額されることがあります。仕事をした日は、認定日に正しく申告しなければなりません。
すでに転職先が決まっており、近いうちに入社する場合も、求職活動の状況や入社日によって扱いが変わります。退職後にハローワークで手続きをする際、内定や入社予定を隠さず伝えてください。
自己都合と会社都合で受給開始時期が変わる
50代の転職で特に重要なのが、退職理由の区分です。自己都合退職と会社都合に近い離職では、給付制限の有無や給付日数が異なります。
| 退職理由 | 受給開始までの主な流れ | 代表的な例 |
|---|---|---|
| 正当な理由のない自己都合退職 | 7日間の待期後、原則1か月の給付制限 | 自分の希望で転職するために退職した場合 |
| 会社都合による離職 | 7日間の待期後、原則として給付制限なし | 解雇、倒産、一定の雇い止めなど |
| 正当な理由のある自己都合退職 | 事情により会社都合に近い扱いになる場合がある | 病気、家族の事情、通勤困難など |
給付制限の期間は制度改正や退職時期によって扱いが変わることがあります。2025年4月1日以降の自己都合退職については、原則として給付制限は1か月です。ただし、過去5年以内に複数回の自己都合退職がある場合などは、異なる扱いになることがあります。
出産、育児、病気、家族の介護など、すぐに働けない事情がある場合は、給付制限とは別に受給期間の延長が問題になります。退職後に放置せず、住所地を管轄するハローワークへ相談してください。制度の概要はハローワークインターネットサービス「基本手当について」でも確認できます。
50代の給付日数は退職理由と加入期間で決まる
50代だから一律に給付日数が決まるわけではありません。主に、年齢、雇用保険の加入期間、離職理由によって決まります。
自己都合退職の場合
65歳未満で自己都合退職をした場合、基本手当の所定給付日数は、一般に次のように定められています。
| 雇用保険の加入期間 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
たとえば、50代で自己都合退職をし、雇用保険の加入期間が15年なら、原則として所定給付日数は120日です。これは給付日数の計算例であり、実際には離職理由や過去の受給歴なども確認されます。
会社都合に近い離職の場合
倒産や解雇などの「特定受給資格者」や、雇い止めなどの「特定理由離職者」に該当すると、自己都合退職よりも給付日数が多くなる場合があります。
45歳以上60歳未満の人では、会社都合に近い離職で、加入期間に応じておおむね次の給付日数が設定されています。
| 雇用保険の加入期間 | 所定給付日数の例 |
|---|---|
| 1年以上5年未満 | 180日 |
| 5年以上10年未満 | 240日 |
| 10年以上20年未満 | 270日 |
| 20年以上 | 330日 |
ただし、すべての退職者にこの日数が適用されるわけではありません。離職理由が特定受給資格者や特定理由離職者に該当するか、離職時の年齢が45歳以上60歳未満に該当するかなどによって決まります。
失業保険の受給額は退職前の賃金をもとに決まる
1日あたりの基本手当の金額は、原則として退職前6か月間の賃金をもとに計算されます。50代であることだけで受給額が決まるわけではなく、退職前の賃金額と年齢区分によって変わります。
賞与は通常、基本手当の計算に含まれません。また、基本手当には年齢区分ごとの上限額があります。正確な金額を知るには、離職票に記載された賃金額をもとに、ハローワークで確認する必要があります。
受給額と給付日数は別のものです。基本手当日額に所定給付日数を掛けた金額が単純に一括支給されるわけではなく、原則として失業認定を受けた日数分が分けて支給されます。
退職後に失業保険を申請する手順
受給を希望する場合は、原則として住所地を管轄するハローワークで手続きをします。次の順番で進めます。
- 会社から離職票などの必要書類を受け取る
- 住んでいる地域を管轄するハローワークで求職申込みをする
- 離職票、本人確認書類、写真、本人名義の預金口座などを提出する
- 受給資格の決定を受け、受給説明会や指定された手続きに参加する
- 決められた認定日に、求職活動の状況と失業状態を申告する
- 失業認定後、認定された日数分の基本手当を受け取る
必要書類の種類や写真の枚数などは、ハローワークや手続き時期によって案内が異なる場合があります。離職票が届かない、離職理由の記載に納得できない、会社都合に該当すると思うといった場合も、先にハローワークへ相談してください。
50代の転職で確認したい注意点
転職先が決まっている場合は、失業状態かを確認する
失業保険は、次の仕事を探している期間の生活を支える制度です。退職時点ですでに転職先が決まり、退職後すぐに入社する場合は、基本手当の対象にならない可能性があります。
一方、転職先が決まっておらず、退職後に求職活動をする場合は、受給条件を満たすか確認できます。内定、入社予定日、雇用契約の開始日などを正確に申告することが重要です。
受給期間は原則として退職日の翌日から1年間
基本手当を受け取れる期間は、原則として退職日の翌日から1年間です。所定給付日数が残っていても、この受給期間を過ぎると受け取れないことがあります。
病気、けが、妊娠、出産、育児、介護などですぐに働けない場合は、受給期間を延長できる可能性があります。対象になる事情がある場合は、必要書類や申請期限をハローワークで確認してください。
雇用保険の加入期間を通算できる場合がある
前の会社を退職してから次の会社へ転職するまでの期間が短く、失業保険を受給していない場合は、一定の条件を満たせば、前後の雇用保険の加入期間を通算できることがあります。
ただし、過去に基本手当を受給した場合や、加入していなかった期間がある場合は扱いが変わります。複数の勤務先の加入期間を合算したい場合は、離職票をすべて用意してハローワークで確認してください。
50代の転職で失業保険を受給できるか判断するチェックリスト
- 退職前の勤務先で雇用保険に加入していたか
- 自己都合なら、原則として退職前2年間に通算12か月以上加入しているか
- 会社都合などなら、退職前1年間に通算6か月以上加入しているか
- 退職後、すぐに働ける状態か
- 転職先が決まっておらず、求職活動をする予定か
- 離職票の離職理由が実際の退職事情と合っているか
- 退職日の翌日から1年以内に受給手続きをできるか
50代の転職でも、失業保険は年齢だけで不支給になることはありません。まずは退職理由と雇用保険の加入期間を確認し、離職票が届いたら、住所地を管轄するハローワークで受給資格、給付日数、受給開始時期を確認してください。







